デジタルカメラが主流となった今、レトロでアナログな魅力を感じられるフィルムカメラに注目が集まってきています。その中でもさらにレトロな機材としてひそかに人気が再燃しているのが大判フィルムカメラ。今回は、大判カメラの代表的な存在として知られているウイスタ(WISTA )のカメラの魅力や買取相場を紹介します。
レトロな魅力がたまらない!大判フィルムカメラとは?
大判フィルムカメラの最大の特徴はサイズの大きさにあります。一般的なフィルム写真は35mm判。大判フィルムカメラのフィルムサイズは4×5インチ。その面積の差は15倍ほどとなります。
フィルムサイズの差は、写真の描写に大きく影響するもの。大判フィルムカメラで撮影した写真は35mm判に比べ情報量が多く、鮮明度や粒状性が格段にアップします。このため、大判フィルムカメラは大伸ばしの印刷にも最適。迫力のある写真を作成することが可能です。
大判フィルムカメラは、カメラのレンズとボディが蛇腹で繋がっていますが、この蛇腹があることでアオリ撮影を行えるため、対象物のピント合わせや形の補正を可能にします。具体的には、他サイズのフィルムカメラでは難しい、後列へのピント合わせを可能にし、接写の際に対象物をしっかり捉えることでき、建物を垂直に撮れ、高さの表現を出せるといったことです。
また、大判フィルムは、6×7、6×9、6×12など、4×5インチ以下のフィルムサイズを選択することもできます。目的や好みに合わせて自由に設定できることも大判カメラならではの魅力です。
そんな大判カメラの代表格と言えるのがウイスタ(WISTA )。ここからは、ウイスタのカメラの魅力や買取相場を見ていきましょう。
ウイスタ(WISTA )とは?
ウイスタ(WISTA )は、1943年に東京・板橋に設立したカメラメーカー。当時はレンズ製作を行い、「武蔵野製作所」という社名でした。その後120フィルム使用カメラの製作を始め、アルミダイキャスト製箱型一眼レフカメラなどを発売します。1972年になるとウイスタ(WISTA )になり、同社初となる4×5インチの大判カメラを手掛けるようになりました。
ウイスタでは、4×5インチの大判カメラをテクニカルカメラと呼び、金属製のウイスタシリーズと木製のフィールドシリーズを製作しています。現在では、120フィルムカメラの製作は行っておらず、この4×5インチの大判カメラのみを製造しています。
ウイスタ(WISTA )の大判カメラの魅力と買取相場
ウイスタの大判カメラは金属製と木製に分かれています。金属製よりも木製の方が高値になりやすいです。それぞれの特徴と買取相場を紹介します。
金属製のウイスタシリーズの機種と買取相場一覧
ウイスタ 45の買取相場10,000円~20,000円
ウイスタ 45Dの買取相場 10,000円~20,000円
ウイスタ 45Nの買取相場 10,000円~20,000円
ウイスタ45SPの買取相場 20,000円~30,000円
ウイスタ 45 RFの買取相場 20,000円~35,000円
ウイスタ 45 VXの買取相場 20,000円~35,000円
ウイスタのカメラの魅力を語る上で、ウイスタ45SPを外すことはできないでしょう。ウイスタ45SPは、金属製のシリーズ。コンパクトではありますが重量は2.9キログラムと重いもの。同様の他社製品にはトヨフィールド45やトプコンホースマン45があります。
ウイスタシリーズの特筆すべき点は、蛇腹の交換ができ、望遠や接写に適した蛇腹に変えられることや、蛇腹が劣化した際にも交換が可能です。さらに、65mmまでの広角レンズを用いたアオリもできます。
さらに、ウイスタ45SPは、凍結対策を行い南極観測時にも使用されていました。このような極地で使用されていた歴史も45SPの高い剛性を証明しています。
チルトは前15度、後に15度動き、スイングも左右15度ずつ稼働可能。タスキを廃止しバックティルトの稼働域を広げ、バック煽り機構の左右どちらにも微動なスイングもあります。ジオラマ風の写真にも最適です。操作もしやすくアクセサリーも豊富な点も魅力。買取相場は20,000円~30,000円ですが、状態がよければ買取価格は35,000円まで見込めます。
木製のフィールドシリーズの機種と買取相場一覧
ウイスタフィールド 45 DXの買取相場 20,000円~40,000円
ウイスタフィールド 45 DX IIの買取相場 ~40,000円
ウイスタフィールド 45 DX IIIの買取相場 ~40,000円
ウイスタフィールド 45 DX SWの買取相場 ~40,000円
ウイスタの木製のフィールドシリーズは、基本的にローズが使用されていますが、ウイスタフィールド 45 DX SWはローズに加え桜材のタイプもあります。また、ウイスタフィールド 45 DXは、チェリー、ローズ、エボニーの3タイプがあります。
レトロで優雅な色合いの外観は、飾っておくだけでも絵になるほど美しいです。重さは1.8キログラムほど。金属製に比べ、木製はかなり軽くなっています。
また、木製フィールドで蛇腹交換ができるのはSWのみです。
ウイスタ(WISTA )を高く売ることはできる?
ウイスタのカメラは、フィールドカメラのため、どうしても劣化や使用感が出やすくなります。このため、状態の良い製品をお持ちの場合は高価買取が期待できます。
特に劣化がでやすい部分は蛇腹です。蛇腹が交換できるタイプの場合は定期的に蛇腹交換をしておくと良いでしょう。長年メンテナンスをせずに眠らせていた場合は、査定前に簡単な清掃を行うだけでも外観の印象は変わります。また、アクセサリーがある場合はまとめて査定に出すと金額がアップするのでおすすめです。